議決権制限株式を使った事業承継

2021.11.02 | 事業承継・相続

こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。今回は議決権制限株式のうち無議決権株式について解説をします。そして事例としてカラアゲ弁当株式会社に登場して頂きます。それでは今回も元気に税金の勉強をしていきましょう!

1無議決権株式とは

その名の通り株主総会で議決を行使できない株式をいいます。

通常の株式は1株につき1議決権を有してます。発行株式が200株式あってすべて通常株式の場合は200議決権あり、それが過半数以上賛成などで議案が可決します。一方で200株式のうち100株式のみ普通株式で残り100株式は無議決株式とします。すると議案の過半数以上の賛成が必要になるのは50議決分ということです。100株式には議決権がないのです。


この無議決株式を導入した場合、一緒に導入することを検討するのが配当優先株式です。これは配当金が優先的にもらえますよという株式です。


無議決株式と合わせて、配当金優先・無議決株式と設定をすることがあります。議決権がない=経営に参加出来ない。かわりに配当を優先的に渡しますという制度です。そうすれば株主の納得を得られやすいですよね。

2カラアゲ弁当株式会社の事業承継に無議決株式を使ってみた

では具体的例をあげてご説明します。今回もカラアゲ弁当株式会社です。オーナーはニワ夫です。妻のニワ子は10年前に他界してます。子どもは二人長男のカラアゲ太朗、長女のカラアゲ代です。顧問税理士はキャベツ先生です。ニワ夫の財産はカラアゲ弁当株式会社の株式評価額は8億円、自宅が1億円、現金預金1億円です。カラアゲ弁当株式会社の株式が全体の8割を占めています。場面はニワ夫が税理士のキャベツ先生に相談するところから始まります。

ニワ夫:キャベツ先生、妻が他界してもう10年になります。そろそワシも相続の対策をしなければならないと思っているんだ。しかし前回先生にワシの財産を試算してもらった結果をみてどのようにしようか正直悩んでおるのじゃ

キャベツ先生:そうですね。カラアゲ弁当株式会社の株式の評価額が8億円にもなることが一番ネックですね。もちろんニワ夫社長の今までの頑張りの成果という意味では素晴らしいですが。

ニワ夫:そうなんじゃ、まさかこんな金額になるとは、、、カラアゲ太朗は大学卒業してすぐにカラアゲ弁当株式会社に入社してくれて、今では専務取締役じゃ。もうそろそろ社長の椅子を譲ろうと思っている。そのためには株式をすべて渡したいんじゃ。長女のカラアゲ代は嫁にいき、カラアゲ弁当株式会社の経営にも興味ないだろうし、財産は多くは遺せないと言っているので納得はしてくれると思う。しかし親ごごろとしてカラアゲ代にも少しでも財産を遺してやりたいのじゃ。

キャベツ先生:私も子どもがいますので社長のお気持ちはよくわかります。それではカラアゲ弁当株式会社の株式の40%を配当優先・無議決株式にしてはいかがでしょうか。そしてそれをカラアゲ代さんにわたし、残り60%の普通株式をカラアゲ太朗君にあげてはどうでしょうか。そうすれば議決権100%カラアゲ太朗君が持つことになります。

ニワ夫:カラアゲ代はその配当優先株式とやらをもらって何かメリットはあるのかい?

キャベツ先生:はい、カラアゲ代さんは、経営に興味がないので議決権はいらいないですよね?しかしカラアゲ弁当株式会社の役員もやっていないカラアゲ代さんには財産が渡せないのは困る。議決権のない無議決株式ですがそれにプラスアルファ配当優先をつけます。カラアゲ弁当株式会社で出た利益を優先的にカラアゲ代さんに渡すことができます。

ニワ夫:それはいいぞ。カラアゲ太朗は今でも十分な役員報酬を得ているし、姉さんのカラアゲ代にもなにかしらの収入があるといいなっと言っておったから賛成してくれるはずだ。

キャベツ先生:それではこちらの方向で進めましょう。種類株式については登記が必要ですので司法書士さんに早速依頼をしますね。これで社長の肩の荷がおりでよかったです。

ニワ夫:そうじゃな。これで安心じゃ!先生それでは打ち合わせも終わりましたし、一杯飲みましょう。もちろんつまみはうちのカラアゲですよ。

キャベツ先生:いいですね。社長のところのカラアゲは本当に絶品ですからね。

カラアゲ弁当株式会社の今回の具体例はいかがだったでしょうか。カラアゲ代さんのように経営に関与していない兄弟がいることは多くあります。
財産に現金預金があればそれを分けて上げればよいのですが、長年会社を経営していると内部留保が厚くなり、株価が高くなります。するとカラアゲ代に分けるものがなくなってしまうのですね。そこで無議決株式にして株式を上げる。しかしカラアゲ代からしたら別に経営もしてないのに株式なんていらないワケです。


そこで配当優先をつけることで毎年会社に利益がでたら配当を優先的にもらえるようにします。カラアゲ代は家の事情もわかっているのでそれで十分納得してくれるというわけです。

3まとめ

無議決株式は議決権がないため取得する人のメリットはなくなります。そのため配当優先を一緒につけることにより毎年の配当を分配してあげるなどの対策が必要です。そして会社にお金が出来てるタイミングで株式を買い取ってあげると現金を渡すことができます。種類株株式設定は導入時一番重要となりますのでよくよくのご検討をお願いします。

新橋、汐留、浜松町、大門から徒歩圏内にあるフェアネス税理士事務所は株式の無議決化のご相談も受け付けております。初回無料相談も実施してますのでぜひ下記よりご利用ください。

お問い合わせ | フェアネス税理士事務所 (fairnesstax.com)
【YouTube】
税理士こながいチャンネル
税理士こながいチャンネル【フェアネス税理士事務所】 – YouTube
【Twitter】
まっし教授@フェアネス税理士事務所 (@tonkichi_jp) / Twitter