融資を受けやすくするための決算書

2021.10.20 | 財務戦略・経営戦略

こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。今回は金融機関から借入をする際にイメージが良くなる決算書の作り方を解説をします。融資を受ける予定がないから関係ないと思った経営者の方も金融機関という外部へ提出することを意識する決算書を作ることは、自社の財務状況を再確認することにもなるのでぜひチェックしてみてください。

1経常利益の黒字はマストです!

金融機関はとにかく赤字を嫌います。そのため決算書の作り方の大前提は黒字確保です。もちろん最終の当期純利益の黒字が望ましいですが、それが難しい場合でも「経常利益」の黒字はマストです。経常利益が黒字ですと金融機関との交渉も可能になってきます。月次の段階で黒字になることを意識しながら処理をすることが大切ですが、決算書作成段階でも以下の見直しをするだけでも経常黒字になる可能性はあります。

1)特別な経費が販売費及び一般管理費・製造原価で処理されている場合

非経常の経費つまり特別損失として処理をすることができます。例えば、本社移転による経費です。毎期本社を引越しする会社はありませんよね?何年か、又は何十年に一回のイベントだと思います。したがってその引越し費用などは特別損失にします。同じく自社ビルをもっており数年に一度行う大規模修繕の修繕費用も特別損失とすることができます。

2)営業外収益に対応する費用が販売費及び一般管理費・製造原価で処理されている場合

どういうことですか?と疑問にもたれる方もいると思います。例えば、従業員から徴収する社宅家賃や関連会社への賃料収入が営業外収益に計上されていることが多いかと思います。一方でこれらに関わる支払家賃、減価償却費、租税公課などが販売費及び一般管理費に計上されているケースがこれに該当します。このような経費は収益費用対応の原則に基づいて営業外費用に表示することが可能です。

2中小企業の会計に関する基本要領を知っていますか?

実は会計と税務の決算書作成ルールは一致していません。そして税理士事務所は税務署へ提出するための決算書を作成してます。中小企業の多くは決算書は税務署へ提出するために作成をしておりますので日常では問題になることは少ないです。しかし金融機関へ提出する際は、会計のルールをある程度意識することが大切になってきます。そこで便利なツールとして登場するのが【中小企業の会計に関する基本要領の適用に関するチェックリスト】です。これにしたがって作成すると会計ルールに準拠した決算書を作成することができます。以下チェック項目をご紹介します。

(1)商品などの販売は出荷基準などにより毎期継続して計上する
(2)売上原価は(1)の基準で実現した売上高に対応した仕入原価を計上する
(3)販管費及び一般管理費は発生主義により計上する
(4)資産は原則として取得価額(購入金額)で計上する
(5)負債は債務額で計上する

3キャッシュフロー計算書

キャッシュフロー計算を作成してますか?キャッシュフロー計算書とはお金の流れを表す計算書です。損益計算書は事業年度の利益を算出するもの、貸借対照表は資産負債の残高を示してます。つまり税務署へ提出するこの二つでは実際、事業年度に現金がどのような動きをしたかがわかりません。キャッシュフロー計算書は税務署へ提出する必要はありません。しかし作成し、必要に応じて金融機関へ提出することで企業がしっかり現金を管理していると認識され融資が受けやすくなります。

4まとめ

以上、簡単にではございますが、融資を受けやすくするための決算書の作り方でした。こちらを意識するだけで金融機関からの印象は大分変わってきます。しかも、手軽に試すことができますので、是非皆さんチャレンジしてみてくださいね。