架空持株会にならないために

2021.10.10 | 事業承継・相続

こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。今回は持株会の運用方法の注意点をみていきます。相続税の節税効果も大きい持株会ですが運用方法を誤ると税務調査で否認されるケースがあります。架空持株会と判断されないためにもまずは持株会の制度を確認します。次に注意点をみていきましょう。

1持株会とは?

架空持株会の前に、そもそも持株会とは何かのご説明をします。持株会は認知度は低いですが、非常に優れた制度です。

しっかり運用を行えば、オーナーの節税、従業員の福利厚生、会社にとっては離職対策になるという、三方良しの制度です。

持株会は、基本は民法上の任意組合とされてます。民法上の任意組合??と思われた方、要はマンション管理組合みたいなもので任意の団体です。株式会社などの法人格はありません。もっと平たい言い方をしますとサークルなどの集まりと同じみたいなものです。次に具体的な内容を見ていきましょう。まずはオーナーがもつ株式を持株会に譲渡します。持株会の構成員は従業員となりますので、従業員に株式を譲ることになります。そこでこんな質問がきます。【従業員に株式を譲って大丈夫ですか?どこかのセミナーで中小企業では経営権を維持するため株式は分散しない方が良いと聞きました】この質問は素晴らしいです。正解です。経営権の力の源はお金や社長の人徳ではないです。株式です。社長が安心して会社経営を行うことができるのは経営権である株式を保有しているからです。通常はその株式を他人に譲渡することは悪手と言われています。一度譲渡してしまいますと次の方、次の方とどんどん遠くに、さらに分散され、株式を把握することが困難になっていきます。


従業員に株式を譲渡することは株式分散になるためよくないですが、持株会を通じて譲渡をする場合、持株会には規約があります。この規約が大きな役割を果たします。
規約の一つに従業員が退職した場合には会社に在籍している従業員に株式を譲渡するということが記載されております。これによりオーナーは株式を実質管理した状態で譲渡することができます。

また従業員持株会を導入する場合、企業からすると従業員が毎期配当額が増えるようにと利益を出すため、売上(営業)を増やし、無駄な経費削減をしてくれます。株式をもつことにより愛社精神が出てきて長く働いてもらうこともできます。中小企業にとっての一番の悩み従業員の離職対策にも使えるということです。

2税務調査で否認?!架空持株会とは

上記のように持株会とは素晴らしい制度です。しかし一部のオーナーは、節税目的のために持株会を作り、自分の株式を従業員に譲渡したうえで、配当をださないなどのことをしてます。もちろん企業ですから赤字の場合は配当を出さない年もあるだろうし、利益が出ていても投資を行いたいなど長期的計画があり、配当を出さない判断をすることもあると思います。しかし長期間配当を出さないというのはおすすめできません。また配当を出さないだけならまだ良いのですが、そもそも従業員自身が株式を持っていることを知らないこともあります。つまり持株会はオーナーが株主名簿だけを変えるだけで、配当も一度もださないということです。いざ税務調査が入り、税務調査官が従業員にあなたは従業員持株会に入っており、株主ですよねっという質問をした場合に従業員は、いえ、私はそんなこと知りません、労働組合のことですか?などと税務調査官に聞き返してしまうことすらあるのです。そしたら税務調査官はしめたものです。持株会の実態はないと否認をしてきます。

3架空持株会にならないためには

ではせっかく作った持株会を否認されないためにはどうすればよいのでしょうか?答えは簡単です。ちゃんと持株会を運用することです。まずは持株会には理事長が必要です。この理事長を経営サイドでない役員を選びます。経営サイドから選出しますと従業員のための持株会とは言えなくなります。そして株主総会の開催、決算書の公開が必要です。決算書の公開はオーナーにとってはハードルが高く感じますが、従業員と会社を成長させたいならば会社の一年の成績である決算書も開示するべきです。それにより利益がいくら残り、配当をどれくらい出すか客観的に決めることが出来ます。オーナーが一番知られたくないであろう役員報酬については人件費として従業員の給料と合わせて表示をするなどの対策をすれば良いです。人件費が合算された決算書をみてオーナーの役員報酬はいくらですか?と聞いてくる従業員は稀有だと思います。

4まとめ

架空持株会と税務調査で否認されないためには開かれた従業員持株会を運営する必要があります。そのためには運営の人員確保と決算書の公開が必要になります。これをデメリットととらえるかチャンスととらえるかは経営者次第です。決算書を公開するということは公平、公明を意識する必要があります。自然とコーポレートガバナンスが高まります。また配当を出すため利益を出す努力が必要です。利益が出る決算書は当然金融機関からの評価が上がります。つまり従業員持株会を上手に運用することが会社経営にもプラスに働くことになります。

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