こんにちは、新橋の税理士事務所、フェアネス税理士事務所代表の小長井です。長年働いた役員・従業員が退職するため退職金を支払いたいけれど、普段退職金なんて支払わないから税金、社会保険は支払うの?書類の準備はどうすればよいの?もらった側は確定申告が必要なの?などの疑問が出てくると思います。そんなあなたに退職金の取り扱いについて網羅的に今回まとめてみましたのでぜひご一読ください。退職金を払う側、もらう側どちらの方が読んでもためになる内容になってます。
目次
1退職金を支払った側の処理
退職金を支払った側つまり会社や個人事業主がやらなければならないことをご紹介します。具体的には法人税、所得税、住民税、社会保険の三種類をどうするか問題がありますので一つずつご説明します。
(1)法人税、所得税
毎月の給料を支払った場合、会社はその給料については経費に計上をします。一方で従業員へ渡す金額は所得税を先に天引きする必要がありますよね。では退職金を支払った場合はどうでしょうか。基本的には同じ考えとなりますがところどころ違うので一つずつ確認しましょう。
まず支払った退職金は会社としては経費になります。ここで早速注意点があります。それは
役員に支払った退職金については、一定のルールに従って支払わなかった場合経費として認められません。
役員への退職金は利益操作に利用されやすいので税務署も厳しく確認をしてきます。具体的には次の計算をした金額です。
役員の退職時の月額報酬×役員勤続年数×功績倍率
ここで一番問題となるのが功績倍率です。会社への貢献度合いの評価です。会社独自の評価なので税務が口をだす必要なさそうに感じますが、違います。10倍や20倍に設定したら、役員の退職を使って不当に会社の利益を圧縮できます。もちろん、税務に関係なく支払うことは問題はありませんが、支払っても経費にはなりません。
しかも明確な規定がないことがこの功績倍率をややこしくしてます。社長か取締役かによって功績倍率は変わってきますが
一般的には2倍から3倍くらいが目安と言われてます。例えば社長退職した場合、月額報酬が100万円、社長任期を30年間、功績倍率を3倍だとします。
会社の経費にできる上限は100万円×30年間×3倍=9,000万円です。
この功績倍率ですが、しっかりと退職金規定を作成して記載すること重要です。功績倍率が3倍以内ならなんでもOKとういうわけではありません。ちゃんと書面で残すことが何より大切なのです。
続いて源泉徴収する金額です。退職金は実は給与より源泉徴収する金額が低く設定されています。それは退職金が老後の生活資金という意味合いがありそこから多額の税金を徴収することは、適切ではないというのが国の考え方です。意外に国、優しいですね。ではその計算式ですが下記の通りとなってます。
勤続年数20年以下:40万円×勤続年数(80万円に満たない場合には、80万円)×1/2×税率
勤続年数20年超 :【800万円 + 70万円 × (勤続年数 -20年)】×1/2×税率
税率は累進課税になってますが1,949千円までは5%です。それ以上の税率は国税庁HPを参考ください。
退職金と税|国税庁 (nta.go.jp)
具体的な数字を当てはめてみると、5年勤続した人に500万円の退職金を支払った場合は、下記の通りです
(500万円-(40万円×5年))×1/2=150万円
150万円×5%=7.5万円
500万円の退職金に対して7.5万円の源泉税で完了します。
税率の注意点でいうと会社は「退職所得の受給に関する申告書」を保存する必要があります。これを提出しない場合、なんと上記の退職所得控除はありません。支払った金額に対して20.42%の源泉税を支払う必要があります。500万円を支払った場合は102.1万円です。7.5万円とは雲泥の差がありますよね。「退職所得の受給に関する申告書」の記載は難しくありませんので必ず退職する方に書いてもらった会社で保管しましょう。源泉税を納める必要がない場合も従業員に書いてもらい保管する必要がありますので気を付けてください。
(2)住民税
退職金に対しては住民税も会社が天引きをする必要があります。計算方法は所得税とほぼ同じです。違う点は税率が10%ということ。さきほどの500万円の退職金を支払った場合は、15万円が住民税とし天引きをする必要があります。天引きをしたら翌月10日に市区町村へ納付する必要があります。
ご参考に神奈川県川崎市のHPのURLを記載します。他の自治体も計算方式は同じです。どこの自治体も退職金のHPを作成していることが多いのでぜひ退職金を支払う方の自治体のHPを確認してみてください。
川崎市:退職手当等に係る税額について (city.kawasaki.jp)
(3)社会保険
退職金については社会保険はかかりません。あっさりですが、社会保険はこれで終了です。このように所得税、住民税、社会保険からかなり優遇されていることがわかりますよね。そのため会社から個人に多額の資金移動する時は退職金を使うことがよくあります。そのため良からぬことを考える人もいるため税務署も厳しい目線でチェックをします。適切に処理をすれば問題ないの知識をつけることが大切です。
2退職金を受け取った側は確定申告必要?
さきほどまでは退職金を支払った側の話でしたが、この後は退職金をもらった側の話です。これは意外とシンプルです。受け取った側は確定申告が必要か?答えは不要です。退職金は分離課税です。つまり上記の通り会社が源泉徴収などをして終了です。一点注意点は「退職所得の受給に関する申告書」を書くこと。
これは会社が準備をしてくれますので、そちらに記載をすればOKです。保管は会社保管になります。退職時は気まずいこともありますが、会社から「退職所得の受給に関する申告書」のことを言われなかった場合、自分から言ってみましょう。
3まとめ
退職金の税務社会保険どうだったでしょうか。今回は退職金を支払う側、もらう側、両方の観点から解説をしました。退職金かなり優遇されてますよね。一番忘れてはいけないのは「退職所得の受給に関する申告書」を提出する。これがないと後ほど高額な税金を支払うことになるかもしれないのでご注意ください。
社会保険はシンプルでしたね。退職金にはかからない。知ってると安心しますが、しらないと、不安になるのが税金社会保険のことです。ぜひこの機会に色々調べてみてくださいね。
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