こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。自民党総裁選挙だんだん盛り上がってきましたね。先日テレビの公開討論会で総裁候補者4名が政策について議論をしておりました。そのなかで河野太郎氏が国民の所得を増加させるため、つまり民間企業が給料を増やすために税制改正をする発言をしてました。公開討論の場では労働分配率の比率を上げた(利益に対する人件費の割合を増加させること)企業に対して税制優遇をするということでした。
実は現状、これに似た制度があります。それが所得拡大促進税制です。この現状の所得拡大促進税制を理解することは非常に有意義です。なぜなら河野太郎氏が自民党総裁=総理大臣になった場合に施行されるだろう国民の所得を増加させるための税制改正(給料を上げた企業の税制優遇)があった場合、何それ?とならず、すんなり受け入れることができるからです。といういうことで今回は将来の税制改正を見据えながら、所得拡大税制の基本を押さえましょう。
目次
1所得拡大促進税制~中小企業向け~
先ほどお伝えした通り、従業員の給料を増やした企業には税制優遇があります。制度の趣旨は国民の所得を増加させたいため会社が前期より多くの給料を従業員に払った場合は法人税を安くしますという制度です。そこには詳細の要件がありますのでそれを確認をしていきましょう。最初は中小企業向けの制度、次は大企業向けの制度について解説していきます。どちらも給料を増やした法人税が安くなるということは同じです。
まずは中小企業向けの所得拡大促進税制を確認していきましょう。
1)適用対象者
青色申告書を提出する中小企業者等です。
青色申告書を提出するためには原則として法人設立時に青色申告承認申請書を提出する必要がありましたよね。青色申告承認申請書を含む会社設立時に必要な届出書については下記の記事にまとめておりますので良かったら参考にしてください。
会社設立時に必要となる手続き
https://fairnesstax.com/taxsaving-assetmanagement/10/
また中小企業者等は資本金又は出資金が1億円以下の法人又は常時使用する従業員の数が1,000人以下の法人などのため通常は中小企業者等に該当します。
2)適用要件:当期の雇用給与等の支給額≥前期の雇用者給与等支給額×101.5%
概要としましては当期従業員へ支払った給与が前期より1.5%増加していたら所得拡大促進税制を使えるということです。
しかも雇用調整等の助成金を控除する必要がないため、会社としては助成金を受取った上で、法人税を安く出来る可能性があります。ただし社長などの役員報酬は含まれませんのでご注意ください。
3)税額控除額(原則)
(1)(当期の雇用給与等の支給額ー前期の雇用者給与等支給額)×15%
つまり当期従業員に支払った給与の総額が3,000万円、前期従業員に支払った給与の総額が2,900万円だった場合は、100万円、給料が増えましたのでこの15%にあたる15万円が法人税から直接控除することができます。ただしこちらでは雇用調整助成金をもらっていた場合は、給与の金額から引く必要があります。先ほどの例で当期雇用調整助成金を50万円もらっていたら、3,000万円ー50万円ー2,900万円となり50万円しか増加していないことになります。
4)税額控除(上乗せ) 上記2)要件適用を満たしたうえで、次を満たすと上乗せで税額控がとれます)
ア.当期の雇用給与等の支給額≥前期の雇用者給与等支給額×102.5%
つまり前期より2.5%と給料を増やすということです。
イ.次のいずれかを満たすこと
・当期の教育訓練費が前期より10%増加していること
・当期末までに経営力向上計画の認定を受け、その計画にしたがって経営力向上が確実に行われたことが証明がされること
ウ.(当期の雇用給与等の支給額ー前期の雇用者給与等支給額)×25%
つまり当期従業員に支払った給与の総額が3,000万円、前期従業員に支払った給与の総額が2,900万円だった場合は、100万円給料が増えましたのでこの25%にあたる25万円が法人税から直接控除することができます。
5)控除上限額:法人税の20%
先ほどの原則の例で言いますと実は法人税が15万円だったとします。するとこの20%である3万円のみ法人税を安くすることができるということです。税額控除の制度は所得拡大税制に限らず、控除上限額を設定してます。そうでないと法人税がゼロ円になってしまうことがあります。国としは法人税ゼロにするまではさすがにできないとよということです。
2大企業向けも実はあります
実は、青色申告書を提出していれば適用できる所得拡大促進税制があります。つまり大企業向けということです。
1)適用要件:当期の雇用給与等の支給額≥前期の雇用者給与等支給額
あれ?中小企業は前期より1.5%増加しなければならなかったのに大企業はないの?ということですが、ないです。が、もうひとつ要件があります。
・当期の新規雇用者給与等支給額≥前期の新規雇用者給与等支給額×102%
つまり当期の新入社員の給与が前期の新入社員の給与より2%多くなければならないのです。さすが大企業も使えるだけ合って要件が厳しくなってますね。
2)税額控除
上記の新規雇用者に支払った給与の15%を法人税を安くすることができます。ただし全体の給与の増加額を上限とします。つまり新入社員の給与の合計が5,000万円だったとしてもその15%である750万円の法人税が安くなるのでなく当期の従業員全員に支払った給与が前期と比較して2,000万円しか増加してない場合は2,000万円の15%である300万円しか法人税はやすくなりません。
3)税額控除(上乗せ)
ア.適用要件
教育訓練費が前期と比較して当期が20%以上増加していること
イ.税額控除
新規雇用者に支払った給与の20%を法人税を安くすることができます。
4)控除上限額:法人税の20%
3まとめ
本日の記事はいかがだったでしょうか。自民党総裁選挙という自分たちと関係のない世界の話かなって思っていた場合も、誰が総裁になるかによって自分たちの所得が増えるかもしれないと思ったら興味がもってますよね。たまには税金の目線から政界を見ることも面白いと思います。フェアネス税理士事務所は新橋、汐留、浜松町、大門から徒歩圏内にある事務所です。初回無料相談も実施してますのでぜひ下記よりご利用ください。それではまた次回の記事でお会いしましょう!!
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