
先日、浜松町で開かれた「会計事務所博覧会」に行ってきました。会計事務所向けの製品やサービスを扱う会社が集まる展示会で、今年で13回目になるそうです。
今年のテーマは「AIと人が共存する、新しい仕事のかたち。」でした。49社が出展し、二日間で二十ほどの講演が組まれています。会場は浜松町の駅から専用の通路でつながっていて、外に出ないまま辿り着けるのが、個人的には一番の驚きでした。
会場を歩くと、やはりAIの話が多いという印象を受けます。記帳を自動化する、書類を読み取る、資料の作成を任せる。どの会社も似た方向を向いていて、この数年で当たり前になった景色だと感じました。
ただ、一日いていちばん印象に残ったのは、技術の話ではありませんでした。
ある講演で、こういう趣旨の話が出ました。税務のサービスがAIによってどこも同じ水準になったとき、最後に残るのは何か。それは人の個性であり、「なぜあの人に頼むのか」という理由のほうだ、と。
会計事務所の仕事は、これまで属人的だと言われてきました。担当者によってやり方が違う、その人にしか分からないことがある。だから標準化しなければいけない、というのが長く言われてきたことです。
その講演では、そこから一歩踏み込んでいました。作業は標準化していく。でも、お客様に向き合う部分はむしろ属人的でいい。というより、そこにしか価値が残らない。標準化するのは作業のほうで、人のほうではない、という整理です。
これは、話を聞いていて腑に落ちました。
数字を集めて、表に入れて、書類の形に整える。この部分は、これから確実に速くなっていきます。一方で、その数字が何を意味するのか、この先どう動けばいいのかを一緒に考える部分は、どれだけ技術が進んでも残ります。むしろ、前の部分が速くなるほど、後ろの部分に使える時間が増える。
展示会では新しい製品をたくさん見ましたが、持ち帰ったのはその感覚のほうでした。効率化は目的ではなく、お客様と話す時間を増やすための手段なのだと、あらためて思いました。
当事務所でも、日々の業務のうち機械に任せられるところは、少しずつ形を変えています。それは仕事を減らすためではなく、ご相談に向き合う時間を確保するためです。
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