こんにちは、新橋の税理士事務所、フェアネス税理士事務所代表の小長井です。既にメディア等により住宅ローン減税制度が改悪になると聞いた方も多くいるのではないでしょうか。メディアで聞いたけれど実際よくわからない。そもそも住宅ローン減税制度って何という方はぜひ最後まで読んでください。また実は改悪だけでなく、今後便利になることも出て来そうなのでそちらも合わせて紹介します。
目次
1住宅ローン減税制度とは
そもそもなぜ12月に税制改正の話題が上がるかご存知でしょうか。実は毎年12月に自民党が税制改正大綱なるものを発表しているからです。政府が発表しているものではないので正式に採用されているワケではありませんが、政府の実態=与党=自民党なのは皆さんもよくご存知だと思います。
つまり自民党の意見がほぼ政府の意見です。そのためこの12月の税制大綱を見ると今後どのように税制が変わるかがわかります。それをメディアが発信しているということです。そんな税制大綱ですが今回はついに住宅ローン減税制度を改正すると記載があったのです。しかも改悪の方です。
住宅ローン減税制度とは国が国民にマイホームをもってもらうため、優遇措置を長きにわたっておこなって来たものです。なぜ、国が国民に住宅をもってもらいたいか?それは国民がマイホームをもつと国の経済が潤うからです。
なぜ潤うか?マイホームを買えば当然、建設会社、建設会社に材料を卸している会社が儲かります。それだけではありません。新しい家を買ったら終わりでしょうか?新しい家には、新しい家電が欲しいですよね。テレビ、洗濯機、冷蔵庫、、、普段いっぺんに買いませんがマイホームを買った時は同時に買います。しかもどうせ新しい家ならいい家電を買いたいなと思うのが人の心理です。さらにさらにマイホームを購入したら、駐車場もどうせならつけよう。駐車場があるなら、、、、当然自動車が欲しいですよね。このようにマイホームを購入するだけでかなりの経済効果があるです。
しかしサラリーマンが現金一括でマイホームを購入することはムリです。どうするか?住宅ローンを組みます。住宅ローンを組むと、、そうです。金融機関が儲かりますね。35年ローンでなにもせず金利を払い続けてくれる。中小企業にお金を貸し付けたらもし倒産したら貸したお金を回収できなくなります。その点、サラリーマンにお金を貸すことはリスクがかなり低いです。毎月給与収入が安定的に入ってきてその中から住宅ローン分を回収するだけです。
日本の大企業を思い浮かべてください。トヨタ、パナソニック、みずほ銀行などはサラリーマンがマイホームを購入すると
実は恩恵を受けれることができるのです。この恩恵を受けるため一番大事な入り口は何か?そうです。マイホームを買わなければ始まりません。しかしマイホームを購入するためには住宅ローン、要するに多額の借金が必要です。普段数千円の世界で生活しているのに数千万円の借入をするなんてなかなか勇気がいります。利息だってかなりの金額です。
住宅ローンを後押しするため政府がこの利息を補助しますというのが住宅ローン控除減税の始まりです。
2住宅ローン減税と支払利息の逆転が起きてしまった
すこし余談になりますが、日本の高度経済成長期の実態は国民にマイホームを購入してもらうことで成立していたのです。しかし段々と日本の景気が悪くなってきました。すると国は銀行にあるお金を企業や個人に貸し付ける方向にもっていきます。ここではその方法を割愛しますがすると銀行はお金を借りてほしいので金利をものすごく下げます。企業に貸すお金を住宅ローンを組む際の金利もとにかく下げる。
すると何が起きるか。住宅ローン減税は金利が高いからその補助として、始まった制度なのに金利の方が減税額より低い逆転減少が起きてしまったのです。
具体的には現状の住宅ローン減税は年末の借入金残高の1%が税金が戻ってくるというものです。年末に3,000万円の住宅ローンが残っていたら1%である30万円分税金が還付されます。一方で住宅ローンの利率は0.5%なんというのもあります。すると単純計算で支払利息は15万円ということで住宅ローンを組むと15万円トクすることになります。
これをマイホームを売る側も利用しております。マンションなどは数年前と比較して本体価額がものすごく上がってます。しかし住宅ローンの利息が数年前より各段に下がっていること&住宅ローン控除減税を合わせればあたかもマンションの値段が上がっているの安く買えるように錯覚をしてしまいます。それを売り文句にドンドン売っているワケです。
この状況を政府は快く思っておりませんでした。本来と違う使いを方をされるとそのうちひずみが出てくると考えたためです。また住宅ローンは安定したサラリーマン向け優遇措置で、本当に住宅で困っている人に対する救済がないと批判的なコメントも多かったなども改正引き金ではありました。
現状は年末の住宅ローンに対して1%税額を優遇しますということになってます。MAXは4,000万円。期間は10年間です。以前の記事で現状の住宅ローン控除減税についてまとめてますので詳細はそちらをご覧ください。
令和4年以降に適用される住宅ローン減税制度については環境に優しいマイホームを購入するともう少し優遇されたりとありますが、一般的なマイホーム購入の適用の概要は下記の通りです。また適用対象者の所得制限も現状の3,000万円から2,000万円に引き下げられることになります。
1)令和4年、5年居住
借入上限3,000万円、控除率0.7%、控除期間13年間
2)令和6年、7年
借入上限2,000万円、控除率0.7%、控除期間10年間
3改正になり便利になることもある
今まで改正により悪くなることをご紹介しましたが実は良くなることもあるんです。そもそも住宅ローン控除制度は上記に紹介した通り公平な制度でないために廃止すべてきいう議論が毎回出てます。時限適用の制度のためいつ打ち切られてもおかしくはないのです。
そんななか今回の税制改正大綱で令和7年まで延長することが決まりました。
控除率は下がったもののとりあえずこの制度が延命されて安心した方も多いのではないでしょうか。また以前は50平米未満の住宅には住宅ローン控除減税が使えませんでしたが、令和4年より40平米~50平米のマイホームについても使えるようになりました。
これは1人暮らしの方も増えて住宅を購入するときに必ずしも大きな家を購入するとは限らなくなった世相を反映しているといえます。ただしこちらの場合の所得制限は1,000万円とさらに厳しめとなっております。
続いては令和5年1月1日以後に居住をする家屋とすこし先の話にはなりますが、この時住宅ローン控除を受けようとする場合、住宅取得資金に係る借入金の年末残高証明書及び新築の工事の請負の写しは不要となります。ただし住宅ローン控除の申告をしてから5年以内は税務署長に上記書類の提出を求められた際には提示または提出が必要となります。
これは昨今のDXの影響で未だに紙の提出を求められていたものを不要にしたものです。ただしなにか税務署が確認したい時はすぐに出せるようにしといてねということです。
また住宅ローン控除減税の適用を受けた場合、1年目は確定申告が必要ですが、2年目は年末調整で対応することができます。この年末調整についても令和5年1月1日以降について住宅ローンの年末残高証明書を添付する必要が亡くなります。これも無駄な資料の添付をやめましょうということです。
4まとめ
住宅ローン控除制度いかがだったでしょうか。そもそも論ですが、この制度は上記の通り、高度経済成長期になにもかも不足している日本で、住宅を中心として一気に整備しようとした国の思惑がある制度です。しかし今の時代は住む場所は十分に足りており、これ以上の新築物件の必要性をあまり感じません。
そして住宅ローン控除制度はサラリーマンとして一社に定年まで働くことを前提とした制度でありますが、現代は流動性が高くなり、サラリーマンとしての給与所得が一番いいと思い込まれてた時代は終わってます。
また日本人は事業としての借金をものすごく嫌う国民性ですがなぜか自分の収入の何倍、十数倍の住宅ローンを組むことに抵抗がないように感じてます。これは会社の上司や親、周りの友人から当然に住宅ローンを組むことを進められていることが原因だと思います。
これも現代はマイホーム購入に関する情報が多くあふれておりその中から自分に必要な情報を選んで判断をすれば、周りの意見にそこまで左右されることはないのではないかと考えます。
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