こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。今回は役員報酬について解説をします。まずは税務上の経費の考え方を確認します。その後、役員報酬制度の概要を説明します。そして最後にまとめという流れです。それでは本日も元気に税金の勉強をしていきましょう!
目次
1経費にならないとは?
そもそも役員報酬だろうと従業員給料だろうとお金を払っていることは変わらないのだから当然経費になるんじゃないの?と思うかもしれませんが会計と税務では経費の考え方が違います。会計と税務??何が違うの?ということですが、大丈夫です。ご説明をします。会計は日々の取引を簿記に基づいて入力をします。上場企業の場合は、株式を保有している株主の利益を守るためちゃんとした会計になっているか監査法人(公認会計士の集団)が毎期チェックをしております。一方、上場していない多くの中小企業の場合、このような監査法人のチェックがありません。そのため極論どのような会計を処理をしても、会計上は問題提起をする人はいません。
しかし税金という立場から考えるとしっかり納税をしてほしいワケです。
そのため税法独自のルールに基づいていない費用は経費にしませんよってことです。これが会計と税務の違いです。例えば、売上が8,000万円あったとし中小企業で銀行借入もない株主は社長一人で会計については誰も文句を言わない状態だとします。社長はバンバンプライベートの費用も会社につけて個人的な費用で8,000万円だったとします。すると利益はゼロになりますよね。会計上は誰も何もいいませんが、税務署がそれは費用でないよと否認して、結局売上8,000万円分の税金を支払うことになります。この税務独自のルールが結構厳しくなっております。税務署としては税金を多く取りたいので費用をなるべく認めないようにします。すると利益が多くなるので税金を多く払うという仕組みです。もちろん、日本は法治国家であるので無理な課税はしない前提です。
2役員報酬制度の概要
ここで役員報酬についてですが、税法の役員報酬の規定は厳しく作られてます。なぜなら中小企業が一番役員報酬を調整しやすいためです。今月は売上が多いから社長である自分の給与増やしちゃおうなんてことだってできたりします。しかし税務署はそのような費用の上げ方は認めてません。役員報酬については以下の4つのパターンがあります。それぞれ解説をしていきます。
1)隠ぺい仮装による給与
2)定期同額給与
3)事前確定届出給与
4)業績連動給与
1)隠ぺい仮装による給与
これは経費になるかどうかの以前の問題です。隠ぺい仮装については税務署が一番厳しく取り締まります。これが発覚した場合は重加算税という重いペナルティが課せられます。会社が悪意をもって行わなければ基本的にはここの認定をされることはありません。ちなみに税務職員は税務調査で重加算税を指摘できると職員の給料に加算されたり、昇給の加点になるので、重加算税が取れると思ったら積極的に取り締まりにきます。
2)定期同額給与
定期同額給与については、これが一番メジャーな役員報酬の支払い方です。結論から言いますと毎月定額で給与を支払うということです。例えば毎月50万円の支払いで年間600万円を役員報酬として支払う。これは文句なしに経費になります。しかし7月の売上が良かったので毎月の定額給与にプラス100万円を上乗せして払ったとします。するとこの100万円は税務上は費用にできません。
これは従業員は会社に雇用されているのに対して、役員は株主から委任を受けて業務を行っているためです。
改定時期については定時株主総会等の決議により期首から3か月以内に役員報酬を改定することが認められいます。その他には経営状況が著しく悪化した場合など一定の事由があるときも変更は認められています。これをみてじゃあ、売上が10%下がったから役員報酬を下げますはダメです。著しくという曖昧な表現ですが、どう見てもこれ業績まずよねってときは認められますがそれ以外はNGです。
最近でいうと新型コロナウイルスのまん延で、飲食店の月の売上が半分以下になってしまったなんいうのもこれに該当します。
3)事前確定届出給与
定期同額給与が基本でしたが、そうはいっても役員だって従業員と同じようにボーナスが欲しいという意見があるのは当然ですよね。そのためにこの事前確定届出給与があります。
所定の時期に確定した金額を支給するという届出書を事前に税務署に提出をしてその通りに支払いをすれば経費に認められます。しかし支払い時期が一日違う、支払う金額が1万円違うなど届出と違う場合は、全額経費になりませんのでこちらは注意が必要です。
4)業績連動給与
こちらは、中小企業が導入する例はあまりないのでさらりとの確認でOKです。私も実務を行うなかではほとんどみたことはありません。主に上場企業が導入をしている制度です。支払われる金銭、株式、新株予約権が会社の業績を示す一定の指標を基礎にされる給与をいいます。手続きとしては報酬委員会の決定など一定の手続きを経て支給されるものでその内容が有価証券報告書に記載されることが要件となります。このような手続きをできるのはやはり上場企業またはその100%子会社に限られてきます。
3まとめ
今回の役員報酬の記事はいかがでしょうか。役員報酬は会社経理のなかで最も身近なものの一つです。しかし税務署は中小企業の社長と会社は一体とものとみなしているため厳しく税務調査をしてきます。今回は次の二つを覚えておきましょう。一番よく使う制度が定期同額給与、続いて使うのが事前確定届出給与です。こちらを押さえて頂ければ日々の会計処理で困ることはあまりないかと思います。フェアネス税理士事務所は新橋、汐留、浜松町、大門から徒歩圏内にある事務所です。会社設立したてで役員報酬どうすれば良いのなど身近に相談できる方がいない場合ぜひ、フェアネス税理士事務所の初回無料相談を下記よりご利用してみてくださいね。それではまた次回の記事でお会いしましょう!
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