登記も不要、属人的株式~事業承継を悩むカラアゲ弁当株式会社を題材として~

2021.09.09 | 事業承継・相続

こんにちは、新橋にて事務所運営をしておりますフェアネス税理士事務所代表の小長井です。今回は属人的株式についてお話をしていきます。すこし難しい内容になってますのでなるべくわかりやすく解説をしていきます。また事例紹介としてカラアゲ弁当株式会社に登場して頂きます。今回のカラアゲ弁当株式会社の事業承継についても気楽に楽しんで読んでもらえたら嬉しいです。それでは本日も元気に税金の勉強をしていきましょう!

1属人的株式とはなんぞや

結論からお伝えしますと特定の人に帰属したときに効果を発揮する株式です。例えば代表取締役がもっている株式の議決権を1株につき10個分にするつまり10倍の議決権を付与するなどです。


種類株式については、無議決権株式、配当優先株式などがあります。これらについては登記が必要となってきます。通常は司法書士さんにお願いをします。属人的株式についてはなんと登記が不要です。そのため外部に属人的株式を発行していることが見つからないは地味ではありますがメリットです。
本来、株主は保有する株式の内容や数に応じて平等に取り扱うよう会社法にて規定されてます。しかしながら非上場会社については剰余金の配当を受ける権利など、株主ごとに異なる取扱いを定款で定めることができます。この異なる取扱いを属人的株式といいます。次に具体的に属人的株式を導入する方法を見ていきましょう。これは定款で定める必要があります。つまり定款変更が必要です。なおこの変更については、属人的株式は株主の権利に重大な影響を及ぼすと考えられているため特別決議ではなく、特別特殊決議が必要とされます。特別特殊決議、漢字が並んでおりかなり複雑に感じますよね。特別特殊決議を満たすには以下を満たす必要があります。

・総株主の半数以上の賛成
・議決権の4分の3以上の賛成

ご覧の通りかなりハードル高めですよね、しかし株主が一人しかいない場合は、その人が認めればOKということです。株式が分散していない場合は導入をしやすくなってます。

2事業承継を悩むカラアゲ弁当株式会社への解決策提案

では上記前提をしてカラアゲ弁当株式会社に登場して頂きましょう。創業者で会長はニワオ、創業者の妻で専務取締役はニワ子です。一人息子で社長はカラアゲ太朗、カラアゲ太朗の妻はカラ子です。創業者ニワオの悩みはニワ子とカラ子の嫁姑問題です。めちゃくちゃ仲が悪いです。カラアゲ太朗は優しい子で、母であるカラ子のことは大切に思ってますが、妻カラ子にはなにもいうことができません。このような状態ですが、カラアゲ弁当株式会社の株式200株すべてをニワオが保有をしています。自分が亡き後は、後継ぎであるカラアゲ太朗に株式を相続してもらい、事業を拡大させて行って欲しいという思いがあります。しかし自分が亡くなった後、カラ子がカラアゲ太朗色々吹き込み、ニワ子をカラアゲ弁当株式会社会社から追い出さないか心配をしてます。ニワ子にはカラアゲ太朗が経営で暴走しないようにお目付け役になってほしいと思ってます。そこで顧問税理士のキャベツ先生に相談をしました。キャベツ先生から次の提案を受けました。


キャベツ先生:ニワオ会長それなら、属人的株式を設定しましょう。そうすればニワ子様がご存命の間はカラアゲ太朗君の経営が暴走した場合のブレーキになります。無事にニワ子様が天寿をまっとうしたら株式は通常通りカラアゲ太朗君が相続をします。

ニワオ会長:そんな良い方法があるんですね、具体的にはどのようにすればいいでしょうか。

キャベツ先生:会長保有の200株の株式について会長に万が一のことがあった場合は40株を奥様ニワ子様に相続してもらいます。その際属人株式を設定するワケです。専務取締役が保有する株式は1株につき10個の議決権を有すると定款に定めます。残り160株は通常通りカラアゲ太朗様に相続してもらいます。すると

ニワ子様の議決権割合は71%以上となり、3分の2以上の特別決議をニワ子様単独で行うことができますので一安心です。

そしてニワ子様が万が一があったときは、カラアゲ太朗君が相続する。属人的株式のためニワ子が亡くなった時点で、普通株式にもどり、200株全てをカラアゲ太朗君が保有することになります。

ニワオ会長:それは素晴らしい!先生その方向ですすめましょう。しかし根本の嫁姑問題はワシとカラアゲ太朗を含め4人で解決しなければならないですね。


キャベツ先生:はい、まだまだ会長はお元気です。万が一が起きないように事前に対策をしましょう!そうすれば一族ハッピー相続です。


ニワオ会長:それでは顧問税理士としてキャベツ先生もぜひ家族会議に参加してください!

キャベツ先生:も、もちろんです、しかし予定が合うかな、、、(キャベツ先生はスケジュール手帳をおもむろに開きながら、これはまた別の意味でビックプロジェクトの始動だなっと思いました。)

3まとめ

今回の記事はいかがだったでしょうか。事例のキャベツ先生は大変ですね。しかし税理士として実際よく会長や社長のプライベートの相談に乗ることはよくあります。それは絶対の信頼を受けているので税理士冥利に尽きるところではあります。属人的株式の導入での注意点はその特別は権利を有する株主が亡くなった場合はその権利が失効するように定款に定めることが大切です。また属人的株式の税務上の評価は明確になっていないため導入する場合は慎重な検討が必要となります。フェアネス税理士事務所は新橋、汐留、浜松町、大門から徒歩圏内にある事務所です。初回無料相談も実施してますので下記よりご利用ください。それではまた次回の記事でお会いしましょう!

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